ルア・トリーニャ 316
このプロジェクトは、ポルトの中心部にある古い住宅を改装したものである。この住宅は、両隣の住宅と一体となった建物の一部であり、この部分を4軒のアパートに改修した。
建物の南側は人通りのある通りで、北側には細長い裏庭が広がっている。既存の住宅には物置に使われていた地下、前面の通りと同じレベルの1階、その上の2階があり、裏庭は南側の通りより低いレベルにあり、地下と同じ高さにあった。住宅は細長い平面形をしており、20世紀前半に建てられた建物の美しさを残しながら、プライバシーを維持し、日照と換気が良好な4つのアパートをどのようにつくるかが課題であった。
1階部分のアパートは、通りと裏庭の両方に面した窓がある。エントランスドアを入ると、リビング、キッチンダイニングのある広々としたリビングエリアがある。通りに面した窓の部分の床は一段高くなっており、通りとのレベル差を設けている。上下に分かれた框戸によって、上の部分だけを開けると、光や風を取り入れつつも通りから内部をのぞけないようにすることで、内部の快適さとプライバシーを保証している。裏庭側には、2つの大きな収納とバスルームを備えた静かな環境のベッドルームと、ランドリールームがある。
地下階にあるアパートからは、庭に直接アクセスすることができる。ポーチを抜け入口に入ると、上階の階段ホールから光を取り入れる天窓のついた、大きなオープンキッチン付きのリビングルームがある。このアパートの照明は家具や建築要素に組み込まれた間接照明になっており、心地よい光環境をつくりだしている。リビングリームの隣にはトイレと、別にある専用のバスルーム付きのスィートルームがある。
最上階には南側と北側に2つのアパートがある。屋根裏スペースを利用した、メゾネットとなっており、既存の梁は重要な空間要素として再利用され、照明が埋め込まれている。メゾネットの端にはあやとりのような形をしたロープによる柵が取り付けられている。両方のメゾネットには、ダイヤモンド型の天窓のある階段ホールにつながる窓があり、ここから自然光を取り入れている。メゾネットの下には、リビングルームとキッチン、バスルームがある。
庭には、各アパートのための4つの家庭菜園とバーベキュースペースがある。家庭菜園は既存の屋根瓦を使ってつくられており、バーベキュースペースは木材、コンクリートブロック、亜鉛を使用してつくられている。
照明にはRen Ito Arq. デザインによるオリガミランプが使用され、間接照明による優しい空間の雰囲気を生み出している。
プロモーター: VRL Investments (www.vrlinvestments.com)
写真: Juan Lois Bocos (www.jloisbocos.com)
設計: 伊藤 廉 (www.ren-ito.com)
構造: Filipa Abreu
上水・下水: Liliana Lourenço
安全: Alexandre Martins (Gpic), Liliana Lourenço
施工: Alexandre Sousa (Empatobra Sousa LDA.)
設計担当: Joao Ramos, Pablo Hernández Esteban, Michela Piddiu, Rita Gomes, Teresa Cabral, Nuno Carvalho Rodrigues, Sofia Augusto, Ondřej Čáp